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VRChatで一人称の跳弾戦車ゲームを作っている。
最初に考えたのは当然、戦車らしい操作だった。
車体を旋回して、砲塔を向けて、前後へ進む。
でも実際にVRで触ると、戦車らしさを足すほど操作が気持ち悪くなった。
制作中、操作系は大きく3回作り直した。
最後に残ったのは、かなり戦車らしくない答えだった。
「いつものVRChatの歩き方」で移動して、首の向きで砲塔を向ける。
1回目:戦車そのものを操作する
最初は車体中心の操作。
戦車として考えれば自然だった。
でもVRでは、プレイヤーの身体感覚と車体の回転が強く結びつく。
試してみると、視点までぐるぐる回る感じが強く、酔いやすかった。
机上では、
「A/Dで旋回、W/Sで前後」
で済む。
HMDを被ると、旋回のたびに視界全体が動く。
ここで最初の前提が崩れた。
Vehicleとして自然な操作が、VRとして自然とは限らない。
2回目:押した方向へ進む
そこで、車体の前方に縛られず、入力した方向へ移動する方式へ寄せた。
これなら移動そのものは楽になる。
ところが別の問題が出た。
移動方向と見る方向の関係が強すぎると、戦いながら後ろを確認しづらい。
跳弾ゲームでは、
- 相手の位置
- 壁
- 反射点
- 自分の進行方向
を同時に見る必要がある。
「移動しやすい」だけでは足りなかった。
3回目:コックピットを強くした
次は、戦車に乗っている感覚を優先した。
コックピット感を出し、乗り物としての見た目を強くする。
ただ、これも動きながら逆方向を見る自由度が落ちた。
戦車ゲームとしてはそれらしい。
でも、VRChatではプレイヤーが普段から、
身体はこっちへ動きながら、首だけ別方向を見る
ことに慣れている。
そこを制限すると、急に操作感が重くなる。
最後は「VRChatで普段やっていること」へ戻した
最終的には、車体操作をプレイヤーへ強く意識させるのをやめた。
移動は、普段のVRChatに近い。
砲塔は、首・視線側へ追従させる。
これなら、
- 移動と索敵を分離できる
- 後ろを確認しやすい
- VRChat経験者が覚え直す量を減らせる
- 車体旋回による視点酔いを減らせる
という利点があった。
戦車シミュレータとして考えれば、かなり割り切っている。
でもRicochetTanksの目的は、戦車を忠実に再現することではない。
壁へ一度跳ね返した弾で相手を狙う駆け引きを成立させること。
なら、操作がゲームの核を邪魔しない方がいい。
「リアルにする」と「それっぽく感じる」は別だった
VRで乗り物を作ると、実物らしい制約を足したくなる。
でも、その制約は現実では身体や前庭感覚とセットで存在する。
VRでは視覚だけが大きく動く場合がある。
その状態で現実の車両操作をそのまま持ち込むと、
「リアルになった」
ではなく、
「見づらくなった」「酔いやすくなった」
になることがある。
今回必要だったのは戦車の操作体系ではなく、
戦車に乗っている気分を残しながら、VRChatの身体感覚を壊さないこと
だった。
まだ人間対戦の最終回答ではない
ここも分けておく。
この操作は、制作中の試遊から現在の構成へ収束したもの。
ただし、対人戦で長時間使ったときに最適かはまだ別問題。
これから見るべきなのは、
- 対戦中に相手を見失わないか
- 旋回・移動で酔わないか
- 初見でも車体の向きを理解できるか
- 弾道を考えながら移動できるか
- DesktopとVRで差が出るか
あたり。
操作を3回作り直した結果は、完成仕様というより次の対人試験へ持っていく仮説だと思っている。
いまの結論
VRゲームで既存ジャンルを再現するとき、
「元ゲームの操作をどう移植するか」
から考えると苦しくなることがある。
今回は逆だった。
VRChatで人が普段どう身体を動かしているかを先にして、その上へ戦車を載せる。
最後に一番使いやすかったのは、一番「戦車専用」ではない操作だった。
PicoTowaでは、こういう体験側から仕様を捨てていった過程も残していく。